マシュマロの薬剤師日誌

病院で薬剤師やってます

経口糖尿病薬のエビデンス🍭

日経メディカルより💌

 

現時点でのエビデンス(表1)と、

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血管合併症・低血糖に関するエビデンスの有る無しで判断した糖尿病治療の流れ(図1)です。 

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図1.経口糖尿病薬の選択順位

 

[メトホルミン]
 ビグアナイド薬であるメトホルミンは合併症抑制に関して以下の特長を持っており、近年の新規糖尿病治療薬のエビデンスは、メトホルミンへの上乗せ効果を検証しているようです。

 

●大血管症一次予防・二次予防
●アジア人での大血管症抑制効果
●これらのリスク低下度は同程度です。

 

※なお、まれに長期投与により

➡︎ビタミンB12欠乏症を来すリスクがあり

 …神経障害や貧血を認める際には血中濃度測定が推奨されます。

 

 

[スルホニル尿素(SU)薬]
 血中インスリン濃度を高めるため動脈硬化惹起作用が懸念されるが、実臨床においてはリスク低下を示すエビデンスがあります。

 

インスリン抵抗性改善薬であるチアゾリジン薬との比較では大血管症に有意差を認めませんでした。

➡︎インスリンによる大血管症増加は否定的✨

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[グリニド薬]
 大血管症抑制効果は再現性に乏しいです。

 

[インスリン]
 インスリン療法による大血管症リスク増加は否定的であるとともに、有意なイベント抑制も示されませんでした。

 

[αグルコシダーゼ阻害薬]
 中国人耐糖能異常者の二次予防効果を検証した研究では、心血管イベントにおけるプラセボと比較して有意差はありませんでした。

 

[ピオグリタゾン]
 日本人約520例をピオグリタゾン群または非ピオグリタゾン群にランダムに割り付けて、約1.8年間追跡したが、大血管症(死亡を含む複合エンドポイント)の抑制効果に有意な差はありませんでした。

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膀胱癌のリスクについては、まだ結論に至っていません。

 

近年の前立腺癌、膵癌(男性)のリスク増加と関連していたことが判明し、究明にはまだ時間がかかりそうです。

 

 今後は、2型糖尿病・耐糖能異常・インスリン抵抗性と関連性の深い、脂肪肝やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)/NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)に対する治療効果が注目されています。

 

[DPP-4阻害薬]
 2015年にシタグリプチンに関する試験で約1万5000例を対象とし、シタグリプチン投与群とプラセボ投与群に2型糖尿病患者をランダムに割り付けたが、心血管死亡、心筋梗塞脳卒中、不安定狭心症による入院に、有意差を認めませんでした。

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 DPP-4阻害薬の大血管症抑制に関する有効性は、否定的です。

エビデンスがない他のDPP-4阻害薬も、クラス効果で大血管症抑制には中立的と考えられます。

低血糖のリスクが少ないという点では日常診療において安全といえますが、大血管症リスクについて「安全である」とは言い切れないので要注意です。

一部の薬剤では、心不全悪化の可能性があるかもしれません。

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以上✨

長々となりましたが

最近の経口糖尿病治療薬のエビデンスに基づいた内容になります🍭🍭