マシュマロの薬剤師日誌

病院で薬剤師やってます

心不全だからといって利尿薬を使うとは限らない!

ラシックス

→ループ利尿薬であるフロセミドの一般名です。

→経口投与での持続時間は6時間です。

 

急性心不全の治療

→近年クリニカルシナリオ(CS)という概念が謳われています。

 CS:心臓の左室前負荷と後負荷の具合や、背景疾患から 

  →いくつかの病態に分類して治療法を決めること。

 

CSは5パターンに分類!

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CS1:血圧上昇群

  ・急激に進行する

  ・広い範囲の肺のうっ血から呼吸不全に!

  ・全身の浮腫は軽い

  ・血圧の上昇による後負荷の急速な上昇

   →急性心不全

   →しんどくなりカテコラミンが出てきて

    末梢血管が収縮し、さらに後ろ負荷が増える

   (悪循環!)

  ・左室収縮は保たれていることが多い

  ・治療:血圧を下げること!

   →硝酸薬NPPV(非侵襲的陽圧喚起療法)

    おすすめ!(利尿薬はあまり使用しない)

CS2:血圧正常群

  ・症状の進み方はゆっくりで、体重が増える

  ・肺のうっ血<<全身浮腫(慢性心不全の状態)

  ・腎機能障害、貧血、低アルブミン血症など

   種々の臓器障害を併せて発症することもある

CS3:血圧低値群

  ・心機能が落ちることで血流が悪い状態が優位

  ・肺のうっ血や全身の浮腫はあまりない

  ・多くの患者は進行した終末期心不全の状態にある

CS4:急性冠症候群による急性心不全 

  ・急性冠症候群に対するサポートを行う

   (心臓発作、心筋梗塞、不安定性狭心症)

CS5:右室不全による急性心不全

  ・肺高血圧または右室梗塞が原因

  ・三尖弁の逆流がある

  ・通常、肺のうっ血はない

  ・左心系は血流が悪くなる

  ・基本的には容量負荷を避ける

  ・血圧が担保されない場合、

   強心薬や血管作動薬の使用も考える

 

つまり、上記をみてみる心不全に利尿薬をよく使用しているイメージが今までありましたが、

実際は、利尿薬を使用するのはCS2のパターンの時くらいでそ、それ以外のパターンでは使用しないようです。

 

【メモ】

NPPVとは

・・・侵襲が少なく、心不全急性期に効果的です。

   PEEP(呼気終末陽圧)をかける