3歳未満の咽頭炎では
●溶連菌感染症の可能性は低いこと、
●症状が乏しい発熱の場合には、
尿路感染症や中耳炎を否定しつつ、
慎重に乳幼児を観察すること。
年長児が溶連菌と診断された際の
抗菌薬投与法について。
溶連菌感染症では、
★発熱および咽頭痛などの臨床症状に加え、
★迅速診断キットを用いた診断が推奨。
診断後の抗菌薬使用の目的は以下となります。
溶連菌感染症発病から9日以内の抗菌薬開始で、
急性リウマチ熱(ARF)を予防できます。
急性糸球体腎炎は
抗菌薬使用しても予防できないため、
血尿を認めた際に再診するよう伝えること。
・溶連菌感染症による諸症状は、
一般的に3〜4日続きます。
抗菌薬使用により、
症状が半日から1日短くなる。
・抗菌薬を投与し除菌することで、
周囲への感染伝播を防止できます。
治療後24時間経過すれば、
他者への感染リスクはなくなります。
溶連菌感染症に対する治療として、
ペニシリン系抗菌薬が推奨されています。
日本の
A群溶血性レンサ球菌(GAS)咽頭炎には
アモキシシリン(AMPC)が
第一選択の抗菌薬として推奨されています。
※セフェム系の使用を推奨する論文もありますが、
使用する根拠は明らかではありません。
★アモキシシリン 10日間もしくは
セフェム系抗菌薬 5日間による
➡︎GAS咽頭炎後の除菌率、再発率を比較すると、
除菌率: AMPC治療群で高く、
再発率: 差はなし
※一部のセフェム系抗菌薬
…低血糖や痙攣などの症状を引き起こす副作用あり
ピボキシル基を有する抗菌薬による
低血糖について、
PMDAより注意喚起がなされています。
➡︎溶連菌感染症に対する治療は、
ペニシリン系抗菌薬が推奨されます。
ペニシリン系への耐性について
●A群溶血性レンサ球菌の感受性
日本➡︎ペニシリン系にほぼ100%感受性あり。
※第3世代セフェムも100%感受性あり。
➡︎クリンダマイシンへの感受性は84.2%
➡︎エリスロマイシンへの感受性は63.4%
つまり日本では、
溶連菌感染症に対して、
ペニシリンとセフェムは
感受性を確認しなくても使用可能✦ฺ
重症ペニシリンアレルギーがある場合は、
➡︎第1世代セフェム、
➡︎クリンダマイシン、
➡︎マクロライド系が推奨。
でも、耐性の問題から、
感受性検査結果を参考に使用すること。
錠剤を服用できない児には、
➡︎マクロライドも考慮。
※さらに耐性率が高いため注意が必要。
➡︎第3世代セフェム
※低カルニチン血症などに注意が必要。
抗菌薬の使用法について
アモキシシリンの小児投与量
➡︎30~50mg/kg/日・分2~3
※米国では
50mg/kg(最大1g)の1日1回投与・10日間も推奨。
溶連菌感染症は、治療後、比較的速やかに集団生活に戻ることができます。
抗菌薬は10日間内服する必要がある!
1日1回もしくは2回投与が可能。
錠剤が飲めない年長児は、
散剤やドライシロップを使用する。
例)20kgの児を
アモキシシリン40mg/kg・10%製剤で
治療する場合、
総量は8gとなり服用はかなり大変!!
20%製剤も考慮されますが、
現実的には2回投与が最もリーズナブルかつ
エビデンスを持った治療法と考えます。
注意点
溶連菌感染症は、
皮疹を生じることがあります。
※手掌や前腕などを中心に、
ザラザラした掻痒感のある皮疹。
※ペニシリンアレルギーや
EBウイルス感染症へのペニシリン投与による皮疹との鑑別も重要です。
溶連菌による皮疹の症状が軽度の場合は、
➡︎ペニシリンの治療で速やかに改善する。
アレルギーのためにペニシリンが使えず、
セフェム系を使用した際は、
セフェム系抗菌薬の使用で、
5〜10%に皮疹が生じることがあります。
まとめ
溶連菌の抗菌薬治療のポイント
・基本はペニシリン、1日2回投与が可能
・溶連菌感染症自体でも発疹が生ずる
・ペニシリンアレルギーの際は、
クリンダマイシンを推奨