[0歳児の食物アレルギー]
〜母乳を介した卵アレルギー〜
症例:プリックテストで卵黄と卵白にアレルギー
アレルギーの検査方法
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血算・IgEと特異的RASTスコアを調べる
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食物抗原(卵白・卵黄・小麦・牛乳・枝豆)のプリックテスト
*上記のいずれかが行われます。
*特異的RASTスコアの採血が一般的です。
*プリックテストの方が15分間で判定できる
RASTスコアよりも早い時期に陽性になる
母乳を介したアトピー性皮膚炎と
食物アレルギーへの対応
- 母親に2週間の卵禁食
*赤児の症状良くなっていれば継続
- 赤児に弱ステロイドと保湿剤の外用塗布
- 1日2回の入浴
*入浴後に弱ステロイドと保湿剤を併用
- 眠るときに痒みが強い際は、ザイザルシロップを投与
- ザイザルシロップは第3世代の抗ヒスタミン薬で生後6ヶ月から使えます
*抗ヒスタミン薬は
脳への移行の強さによって
第1〜第3世代までにわけられます。
第3世代が一番脳への移行が少ない。
- 母親が弱ステロイド軟膏の塗布に難色を示したとき
(1)保湿剤のみとする
(2)弱ステロイドは必ず塗布するように説得
(3)弱ステロイドを4日間だけ塗布してもらい、再来院してもらう
(4)ステロイドを処方しない他院を紹介する
*ステロイドを怖がる(ステロイドフォビア)親は少なくありません。
*アトピー性皮膚炎の炎症を抑える薬には、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏があります。
*タクロリムスは2歳未満の適応がない!
*2歳未満はステロイドをきちんと塗布してもらう必要があります。
*プロアクティブ療法といいます。
離乳食の進め方
- 離乳食は様子を見ながら進める。
- 離乳食の開始は5カ月~6カ月。
*なるべく早く
*5ヶ月では内容はお粥と野菜裏ごし(にんじん・かぼちゃ・さつまいも)
*6カ月から2回食にして豆腐を開始
*その後、ヨーグルトと小麦(うどん)も少量から開始
*離乳食が3回食になり便がしっかりして来たら、卵黄を極少量・米粒大を与え、毎日少しずつ量を増やす
*卵黄摂取でアトピー性皮膚炎が悪化
→特異的RASTスコアの検査をする
*悪化しない場合
→加熱の卵黄を少量ずつ増加し、
1か月で卵黄2分の1を食べられたら、
次に1日に卵黄2分の1を食べながら、
卵白も極少量・米粒大から少しずつ増加
1カ月で卵白半分量が食べられれば、
卵アレルギーは先ず心配ない!🎉
- 離乳食の内容は通常の離乳食の食事と同じとし、制限しない。
- 口の周りに食事の前に保湿剤の塗布と、食後には弱ステロイドの塗布をしながら離乳食を進めると良い結果につながります。
成育医療研究センターのPETITスタディとは?2016年に発表
- アトピー性皮膚炎の乳児の離乳期における鶏卵導入を進める際の参考になる
- できるだけ早期からの経口摂取開始が、食物アレルギーを予防すると証明した試験
- 卵アレルギーによるアトピー性皮膚炎になっている生後4~6カ月の乳児に、
1) 生後6カ月から加熱全卵0.2g
(卵1個は約50g。0.2gは卵1個の250分の1)
を毎日摂取させ、
生後9カ月からは加熱全卵1.1g
(約50分の1)を毎日摂取させた介入群
→1歳の卵アレルギーの発症率は8.3%
2) 12カ月まで卵を食べさせなかった対照群
→37.7%に卵アレルギーが発症
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明らかな有害事象の発生なし
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12カ月で加熱全卵32gを摂取させる
1) 卵を生後12カ月食べさせない場合
→卵アレルギーが寛解したのは63%
2) 卵を早期に食べさせていた場合
→卵アレルギーが寛解したのは92%
*ただし、寛解を得るためには条件があります。2点!
→皮膚の状態を弱ステロイドと保湿剤を使って良好に維持することと
→負荷する卵以外には卵を一切摂取しないこと
*鶏卵の摂取開始はあくまで専門医の指導の下、行う必要があります。
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