今日は
抗インフルエンザ薬の適正使用についての勉強会に行ってきました。
愛知県の病院の先生の講演でした。
❶インフルエンザウイルスの流行について
・通常の流行は
インフルエンザA型やB型で発生します。
・パンデミックは
インフルエンザA型で発生します。
亜型でいうと新型です。
ブタ由来のソ連型、香港型、トリ型などさまざまな型が再集合してしまいます。
❷インフルエンザウイルスの種類
・ヘマグルチニン(HA)は16種類
・ノイラミニダーゼ(NA)は9種類
=16×9=144種類いるはずですが、
実際、流行するのは3種類ほどです。
❸高病原性鳥インフルエンザウイルス
・トリ→ブタ→ヒトへうつるとやばいやつです。
※ブタは、トリの受容体もヒトの受容体ももっているので、ブタを経由してヒトにうつってしまうのです💦
・普通の病原性のものであれば、
症状は呼吸器症状くらいですが、
高病原性となると、
さらに、チアノーゼ、下痢、神経症状、治療をしなければ死亡率は75%以上にもなります。
❹季節性インフルエンザ
・通常、1月中旬〜2月中旬に流行りのピークがきます。
・変な時期に流行ったら、新型のインフルエンザウイルスを疑います。
・流行する型の種類が多いと、インフルエンザに複数回かかることもあります。
❺B型を侮っては行けません
・A型より症状がマイルドだと思われているB型ですが、細菌感染など併発してしまうと、最悪死亡してしまうこともあります💦
・インフルエンザ脳症は、A型が多いですが、B型でも5%ほどはいるので、注意が必要です!
・日本人の持っているB型に対する抗体価は少ないため、B型に感染しやすいという報告があります。
❻薬剤耐性状況について
・タミフルに対しては
▶︎H1N1型はほとんど耐性です。
▶︎パンデミック09は少しずつ耐性を持ち始めています。
▶︎H3型、B型は耐性はありません。
・イナビルに対してはほとんど耐性ありません。
❼新薬ゾフルーザについて
・今までの抗インフルエンザ薬では、NA阻害のみの作用でしたが、
このゾフルーザは細胞内で核酸の部分に作用するという、
新しいメカニズムのお薬です。
・治療の適応しかとっていません。
・ウイルス力価を減らす作用はタミフルより強い!!
・治療後にA型インフルエンザに対して変異が生じやすい!発現率9.7%!
(他剤はより生じやすい。他剤での発現率は高くても4.1%ほど)
・ゾフルーザによる治療により変異したインフルエンザウイルスがヒトに感染すると、罹病期間が1日ほど伸びてしまいます。
・ゾフルーザのタンパク結合率は93%と高く、効果発揮しにくい印象です。
・作用機序がほかの抗インフルエンザ薬と異なるので、併用ができるのではないかと期待されています。
❽タミフル
・水溶性の製剤なので、細胞内へ成分が入りにくく、血中濃度を維持するために、何日間か補充する必要があります。
・タンパク結合率が低い(3%以下)なので、効果が発揮されやすいです。
・予防投与の際も、治療と同じ量で処方する医師もいるようです。
❾イナビル
・プロドラッグで脂溶性高いので、細胞内に入りやすく、活性体になると水溶性になり、細胞内に留まります。そのため、単回投与でOKなのです。
・タンパク結合率は0.4%と低いので、効果が発揮されやすいです。