マシュマロの薬剤師日誌

病院で薬剤師やってます

【医療】腹水について勉強してみた。

 

●腹水とは

腹腔内に液体が過剰に貯留した状態をいいます。

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腹腔内には通常、20〜50mLの腹水が常にあり、

腸の蠕動時の潤滑油的な働きをしています。

 

腹水は、

腹膜から少しずつ出て

再び腹膜から吸収され、

通常は一定の量を保っています。

 

 

そのバランスが崩れて腹水の量が増えていくと、

腹腔内臓器を圧迫したり、

横隔膜を介して肺を圧迫したりして、

「お腹が張る」

「痛い」

「みぞおちが苦しい」

「息苦しい」などの

症状が現れることがあります。

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食事が摂れずに体力がますます低下してしまうこともあります。

 

がん患者さんの15~50%に

腹水貯留が見られるとされています。

 

腹水が増える原因

考えられる3つの場合

(1)生成される量が多い

     細菌感染による炎症や 

        腹膜播種などによって、

        腹膜炎が起こっている場合が多いです

        特にがん(漿液性嚢胞腺がんなど)

        腹膜播種を起こすと、

        1日1L以上たまることもあります。


(2)吸収される量が少ない   

    吸収が少なくなる原因として多いのは、

      血中のアルブミン量の不足です。

      血液中のアルブミン

      血管内に水分を保ったり

      余分な水分を血管に取り込む働きをしています。

 

  アルブミンが不足

    ➡水分を血管内に取り込めない

    ➡腹水増加💦

 

  アルブミンは肝臓で作られています。

  つまり、肝臓が障害されると

     アルブミンが作られなくなり

  腹水も溜まりやすくなります💦

 

 

 がんも、終末期にはアルブミン量が低下するので、腹水が溜まりやすくなります💦

 

(3)排水が妨げられている

   排水が妨げられる原因としては、

  ➡心不全静脈圧が高まり、

   ➡血管内への水分移動が減少して

    ➡腹水がたまりやすくなります💦

 

  補液量が多い、腎不全など

  ➡体内の水分量が多くなり

   ➡静脈圧が高まって

    ➡腹水がたまりやすくなります💦

 

 ●乳び腹水とは

 白っぽく混濁した腹水がたまることです。

 

 通常、

 腹水➡腹膜から吸収➡血管に戻ったりリンパ管を通って排水されたりします。

 

 リンパ管腫瘍によって損傷すると、

  脂肪滴を含むリンパ液が腹腔内に漏れ出して、乳び腹水になります。

 

●腹水の治療

 1)腹水がたまる原因がわかっていて

        治療可能な場合は

  ➡治療をする!

  例】がん性腹膜炎を抗がん剤で治療する

             ➡腹水減少に効果あり。

 

 2)根本的な治療がない場合は

  ➡対症療法へ!

  ★利尿薬の使用

       ・・・血中の水分を尿として排出し、

     血中アルブミン濃度を高めたり、

                  静脈圧を下げたり

        ➡より多くの腹水が血管内に戻ります。

   例】カリウム保持性利尿薬、ループ利尿薬、

     トルバプタン

               (サムスカ®︎:水だけを排出する利尿薬)

 

  ★利尿薬を使用しても腹水がたまっていく場合

   腹腔穿刺で腹水を抜く!

   【注意!】

    腹水を一度に大量に抜くと、

    血管から腹水側に水分が移りやすくなり、

              脱水なりやすい

    体力がない場合、

              血圧低下で非常に具合が悪くなることも

              あります!

    ➡対策:抜く腹水1Ⅼ当たり、

         6~10gのアルブミンを点滴で補充するとよい。

    ※アルブミンの喪失を防ぐためには、

     腹水濾過濃縮再静注法(CART:カート)

                  も有効です。

⬇︎⬇︎⬇︎こんなやつ

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