マシュマロの薬剤師日誌

病院で薬剤師やってます

砂糖や人工甘味料の体への影響のお話。

日本とアメリカで認可されている人工甘味料は、サッカリンアスパルテームスクラロースアセスルファムカリウム(以下、アセスルファムK)、ネオテームの5つです。

 

サッカリンはいちばん古く、

発がん性が疑われましたが、

後に発がん性は否定されたのですが、

悪いイメージが残り、

日本であまり使われていません。

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サッカリン苦味があるので、

次世代の人工甘味料

どんどん使われるようになりました。

 

人工甘味料を甘みで比べる】

サッカリン砂糖の200~700倍の甘みがあります。

アスパルテーム160~220倍

アセスルファムK200倍

スクラロース600倍

ネオテーム7000~1万3000倍です。

 

 


【カロリーゼロ】

 

 

100ml当たり5kcal未満

=「カロリーゼロ」「無」「ノン」「レス」「フリー」と表示してもいいという基準があります。

 

「糖質ゼロ」「糖類ゼロ」

=100ml当たり糖類が0.5g未満なら表示できます。

 

 

【表示されている炭水化物】

「栄養成分表」に「炭水化物」があれば、

その中に「糖質」「糖類」が含まれています。

 

「炭水化物」

「食物繊維」「糖質」から成り、

 

「糖質」には

多糖類(オリゴ糖、でんぷん、デキストリン)、

二糖類(麦芽糖、ショ糖、乳糖)

単糖類(ぶとう糖、果糖)などが含まれ、

「糖類」はこのうち二糖類単糖類を指します。

 

 

 

人工甘味料の3つの作用】

 

人工甘味料には主に3つの作用があります。

 

①ホルモンに影響を及ぼして体内に脂肪を蓄える。

②味覚を鈍化させる。

③コカイン以上の依存性がある

 
 

それでは以上の3つを詳しくみてみましょう。

 

①「体内に脂肪を蓄える」は、つまり太る?

 

普通の砂糖(グラニュー糖や上白糖)を取ると、

血液中の糖の濃度(血糖値)が上がって

インスリンがすい臓から分泌され、

血液から余分なぶどう糖を除こうとします。

その結果、血糖値が下がる。

それでも限界があり、

次にインスリン脂肪細胞に働きかけます。

余ったぶどう糖は脂肪に変化して

体脂肪として脂肪細胞にため込まれます。

 

だからインスリン

肥満ホルモン」とも呼ばれます。

 

 

そして、人工甘味料でも

インスリンが分泌されることがわかっています。

 

 

2013年の報告で、

a)人工甘味料を飲んだ後に➡︎ぶどう糖液飲む

b)水を飲んだ後に              ➡︎ぶどう糖液を飲む

血糖値のピークが高さ➡︎a)b)

インスリンの分泌が20%高くなりました。

 

つまり、「カロリーゼロ」も

インスリン血糖に影響しているのです。

 

 


②「味覚を鈍化させる」というのは?

 

人工甘味料は、かなり薄めて使われるので、

少しの用量で普通の砂糖と

ほとんど同じくらいの甘さに感じます。

 

 

カロリーゼロの「パルスイート」なら

たくさん入れてもいいかな

という安心感があって、

用量が増えていってしまいます。

 

「パルスイート」

人工甘味料アスパルテームを使っています。

 

このように

甘みの強いものを普段から飲んでいると、

味覚を感知する

舌の「味蕾(みらい)」という

甘みセンサーの機能が鈍化していきます。

 

味覚は刺激に慣れやすく、

かなり甘くないと満足できなくなります。

 

甘みセンサーは舌だけでなく、

胃や腸、すい臓にもあります。

 

にある甘みセンサーが甘みを感知すると、

グレリンというホルモンが分泌されます。

 

グレリンは脳の視床下部に働いて食欲を増し

成長ホルモンの分泌を促進させます。

 

人工甘味料の入ったドリンクを飲んでも

グレリンは分泌されますから、

食欲が増して肥満につながるわけです。 

 

 

③「依存性がある」とは?

 

人工甘味料には

コカイン以上の強い依存性があります。

私たちはおいしいものを

飲んだり食べたりすると、

脳の「快楽中枢」と呼ばれる神経系から

ドーパミンなどの神経伝達物質が分泌され、

満足感を得ます。

そして

「もっと飲みたい」「もっと食べたい」と

思うようになります。🍹🍦🍭🍰🍪🍩🍫

 

 

ところが、

強い欲求が続く

ドーパミンの分泌をコントロールできなくなり、

依存性や中毒になります。

 

たとえば、💊💊

薬物を投与するとドーパミンが分泌され、

幸福感や快楽を得られますが、

ドーパミンが枯渇すると、

また薬物が欲しくなる

 

それと同じ作用で、

人工甘味料の甘さは

一時的に満足感を得られますが、

枯渇すると、また人工甘味料が欲しくなる

 

そうして「甘み依存症」になっていくのです。

 

 

サッカリンを使ったマウスの実験で、

コカイン以上

サッカリン中毒性が強いことがわかりました。

 

サッカリンに限らず、

ほかの人工甘味料にも強い依存性があると

考えられています。

 

 

人工甘味料の独特な甘み、後味】

 

以前から使われている

アスパルテームなどの人工甘味料には

後味があるため、

アセスルファムKと一緒に使うことが多いのです。

 

ダイエット・ソーダ

人工甘味料入り炭酸飲料水)の多くには、

比較的新しいスクラロースが含まれています。

 

スクラロース後味が少なく

単独で使用できるため、

飲料メーカーの消費量が急激に増えています。

 

 

 

人工甘味料うつ病発症!?神経伝達物質が減る?】

 

甘いドリンク、特にダイエット・ソーダ

うつ病のリスクを高めることがわかりました。

 

毎日4缶以上飲んだ人たちは、🥤🥤🥤🥤

飲まなかった人に比べて

うつ病の発症が31%も高くなったのです。

 

この結果をもたらした

詳しいメカニズムはまだわかっていません

 

 

アスパルテーム

体内で代謝されたときに

フェニルアラニンアスパラギン酸メタノール

に分解されるのですが、

過剰なフェニルアラニンアスパラギン酸は、

神経伝達物質(セロトニンドーパミンなど)

を作るための

チロシントリプトファン

脳へ送られるのを妨害します

 

それで神経伝達物質が減りうつ症状が現れると考えられます。

 

 

ハーバード大学

3000人以上の女性を11年間、👱🏻‍♀️👩🏻‍🦰🧒🏻👧🏻👩🏻‍🦳

追跡調査したところ、

 

🥤🥤

ダイエット・ソーダを1日2缶以上飲んでいた人は、

飲んでいなかった人に比べて、

腎機能が30%低下していました。

 

コロンビア大学の調査では、

ダイエット・ソーダを毎日飲んだ人たちは、🥤🥤

飲んでいない人に比べて、

脳卒中心筋梗塞などを発症するリスクが

43%も高かった

 

※どちらの調査も、

カロリーあり」の

糖類が入ったソーダを飲んでいた人には、

これらのリスクは認められませんでした。

 

 

科学誌『ネイチャー』に、

人工甘味料腸内細菌に作用して

代謝異常を起こすという報告もされました。

 

 

 
【天然甘味料も安心できない!】

 

そもそも肥満が増えた原因は、

天然甘味料異性化糖です。

 

これは「天然」の糖なのですが、

安心できません。

アメリカでは大問題になっていますが、

日本ではまだほとんど問題になっていません。

 

 

異性化糖とは?】

 

異性化糖

ぶどう糖果糖液糖」や

「果糖ぶどう糖液糖」などと呼ばれるものです。

 

糖のうちの

果糖の割合が50%未満のものを

➡︎「ぶどう糖果糖液糖」、

 

果糖の割合が50%以上、90%未満のものを

➡︎「果糖ぶどう糖液糖」🍎

と言います

 

(※果糖の割合が90%以上のものは

  ➡︎「高果糖液糖」)。 🍎🍏🍐🍊🍋

 

 

異性化糖と普通の砂糖との違い】

 

普通の砂糖

ぶどう糖果糖結合した二糖類で、

 

異性化糖

ぶどう糖果糖混合液単糖類です。

 

 

普通の砂糖は、

まず腸内でぶどう糖果糖分解されてから、

それぞれ吸収されますが、

 

異性化糖

もともと最小単位の単糖類なので、

ぶどう糖、果糖がそれぞれすぐ吸収されます。

 

※清涼飲料水の異性化糖は、

一気に果糖を摂取するので注意が必要です。

 

 

ぶどう糖果糖

体への作用や処理の仕方が

まったく違います

 

 

ぶどう糖の場合、

小腸から吸収されて血液に入り

血糖が上がるという代謝になりますが、

 

 

果糖の場合は直接、

血糖は上がらず

ほとんどが肝臓で代謝されて、

余った果糖は脂肪肝になりやすい。

 

つまり、血糖は上がらないけれど、肝臓に影響を及ぼし内臓脂肪になります。

 

 

 

さらに、

果糖を取った場合、

ぶどう糖に比べて満腹感を感じません

 

 

 

1950年代にキューバ革命が起きて、

アメリカはキューバから

砂糖を輸入できなくなった。

そこで砂糖の代わりに

異性化糖作られるようになりました。

 

異性化糖はとうもろこしなどの

でんぷんを酵素処理して生産されます。

高フルクトース・シロップ」とも呼ばれます。

「シロップ」という名のとおり、液体なので、

ドリンクや食品にも簡単に混ぜれます。

この製法は日本人が発明しました。

 

これが1970年代にアメリカに導入されて、

政府はとうもろこしの生産を後押ししました。

そして、

さまざまな清涼飲料水に使われるようになり、

供給が増えたのです。

 

 

肥満に悩む日本人も

ぶどう糖果糖液糖

果糖ぶどう糖液糖」に要注意ですね。