大阪府は2019年10月16日、
さやまシティ薬局(大阪府大阪狭山市)の開設者に対して、同日付で、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき業務改善を命じたと発表した。
違反の概要は、
開設者の管理薬剤師が、
薬剤師以外の者に、散剤の直接計量、混合の調剤を行わせていたこと。この行為に関しては、薬剤師が途中で確認を行っていたが、健康被害の発生が否定できないことから、大阪府は業務改善を命じた。
開設者が、薬剤師以外の者に販売または授与の目的で調剤を行わせたことは、
薬機法第9条第1項に基づく
同法施行規則第11条の8第1項の規定に違反し、
薬剤師法第19条の規定にも違反する。
また、このことは管理者が、保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、
その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、必要な注意をしていたと言えず、
薬機法第8条第1項の規定に違反するという。
今回の違反が明らかになったきっかけは、
19年7月に大阪府民から府への情報提供があったこと。
同月、薬事監視員が薬局に立ち入ったところ、当該行為を現認した。
具体的には、非薬剤師が調剤棚から取った散剤のボトルのバーコードを散剤鑑査システムで読み取ってから、秤量していた。
薬事監視員は、非薬剤師が乳糖で賦形した散剤を分包機にまいているところも確認した。
開設者は秤量後に発行されるレシートを、分包機にまく前に薬剤師が確認していたと、申し述べていたという。
軟膏や液剤の調剤は行わせていないと語ったという。
薬事監視員が立ち入った際、
薬局内に薬剤師は1人いたが投薬中で、当該行為については、現に薬剤師が確認できる状態ではなかった。
大阪府によると、こうした行為は、2015年くらいから薬剤師が少ない時間帯に行っていたと、開設者は説明したという。
大阪府は、開設者に対して、
以下を含めた是正措置および再発防止策を講じて、業務運営の改善を行うよう命じた。
また、その業務改善計画書を19年10月23日までに作成し、提出することも求めた。
・調剤を行うために必要な体制の確保(薬剤師の確保)
・保健衛生上支障が生ずるおそれがないよう、法令遵守体制を整備する観点から、調剤及び薬剤師以外の者の業務の実施に係る手順書の整備
・薬局に従事する薬剤師等に対する法令遵守及び上記手順書内容を含む研修の実施
・薬剤師以外の者が調剤した医薬品による健康被害がないことの確認
非薬剤師による調剤行為は、
2019年4月2日に厚生労働省から
「調剤業務のあり方について」の通知が出された。
だが、軟膏剤、水剤、散剤の計量などについては、既に2015年6月に、
「たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても薬剤師法第19条への違反に該当する」との解釈が明示されていた。