マシュマロの薬剤師日誌

病院で薬剤師やってます

タムスロシンと白内障治療

ハルナールD錠0.1mg/0.2mgの添付文書(一部抜粋)※一般名:タムスロシン


その他の注意
(1)α1遮断薬を服用中または過去に服用経験のある患者において、α1遮断作用によると考えられる術中虹彩緊張低下症候群(Intraoperative Floppy Iris Syndrome)が表れるとの報告がある。

 

術中虹彩緊張低下症候群とは、

英語の頭文字を取って、IFISとも呼ばれます。

白内障の手術で濁った水晶体をレンズに置換する際、瞳孔を広げますが、

その時、瞳孔の周囲の虹彩がうまく開かない場合や、手術中に虹彩が閉じてくるような場合があって、そうなると手術がとても困難になってしまいます。

α1遮断薬を飲んでいると、

虹彩の平滑筋が抑制されて、そのような症状が表れてしまう恐れがあります。

なので、α1遮断薬である

タムスロシンやナフトピジル(フリバス他)、シロドシン(ユリーフ他)を服用中の患者さんは注意が必要です。

 

その他のα1遮断薬である、

プラゾシン塩酸塩(ミニプレス)、ブナゾシン塩酸塩(デタントール)、ドキサゾシンメシル酸塩(カルデナリン他)、ウラピジル(エブランチル)に加えて、

同様にα1アドレナリン拮抗作用のあるリスペリドン(リスパダール他)の添付文書にも、IFISについての注意が記載されています。

 

 

虹彩の変化は不可逆的なものだと言われていて、

手術前に内服を中止をしても、IFISの発生は防げないとされています。

ただ、手術の際に、IFISの可能性が分かっていれば対応が取れるので、

白内障手術を受ける際には、必ず眼科医にα1遮断薬を飲んでいることを申し出るように』

と伝えることが大切です。