化学療法を受けている患者の口内炎について
☆うがいや口腔ケアによる予防が重要で、歯科医や栄養士と積極的に連携を☆
●大量の抗癌剤を投与する造血幹細胞移植時には70~90%
●頭頸部付近への放射線治療を併用する場合は、ほぼ100%
一般に、抗癌剤を投与して4~5日後くらいから口腔粘膜が変化し始めます。
その後、赤くなり、潰瘍ができて、痛みが生じます。
こうしてできた口内炎は、口腔内の上皮細胞が入れ替わることで治癒しますが、それには10日ほどかかります。
しかし、抗癌剤治療は2~3週間おきに繰り返されることが多いため、口内炎が治りきらないうちに次の抗癌剤治療で悪化したり、新たな口内炎が発生したりします。
口内炎の薬物療法は、痛みがなければ、例えばアズレンスルホン酸ナトリウム水和物・炭酸水素ナトリウム(商品名ハチアズレ他)
〔作り方〕
10gとグリセリン60mLを、精製水または生理食塩水で全量が500mLとなるように溶解して、1回50mLで含嗽を励行し、口の中を清潔に保ち、保湿します。
※アルコールを含む洗口薬は避けた方が良いです。
痛みがあれば、上記の含嗽水にリドカイン塩酸塩などを加え除痛を図ります。また、医療用麻薬を使うこともあります。
このほか、感染を防止するために、抗真菌薬や抗ウイルス薬も使用します。
なお、適応外ではありますが、アロプリノール(ザイロリック他)やスクラルファート水和物(アルサルミン他)、アルギン酸ナトリウム(アルロイドG他)もそれぞれ含嗽薬として使われます。
薬剤によって使用方法が多少異なるので、不明な点は処方医に確認してから指導するようにしましょう。
また、口腔粘膜を覆う強固な生体接着保護膜となって、患部を物理的に保護するエピシル口腔用液が2017年7月に、医療機器製造販売承認を取得しました。18年1月31日、保険適用されています。
4月くらいなのかな?、、
【重篤副作用マニュアルで確認】
口内炎は、QOLを低下させる副作用であるため、予防が最も重要で、治療開始前からの口腔内ケアが大切です。そのため、患者から、「これから抗癌剤の治療を受ける」という話を聞いたときには、口内炎予防のため、治療開始前からの口腔ケアが重要であると伝えてください。
口内炎の予防と治療は、薬剤師だけで何とかできるものではありません。正しいブラッシングを身に付けるためには、歯科医との連携が必要です。
口内炎が痛いときにも比較的食べやすい食品や、味付けなどについては、栄養士と連携を取りながらフォローすることも1つの方法でしょう。
処方医を含めてチームで患者を支えましょう。