💉GLP-1受容体作動薬とは💉
●グルカゴン様ペプチド(GLP)-1とは?
➡︎インクレチンと呼ばれるもので、
食後に腸管から分泌されるペプチドホルモン
➡︎血糖値依存的なインスリン分泌促進、
グルカゴン分泌抑制、
胃内容排泄遅延、
満腹感促進作用など
●血糖降下作用
●心血管イベント抑制
●体重減少作用
これらの作用が期待されるお薬です💉
●1週間に1回の注射で済むウイークリータイプ
●注射針が装着され1回使い切りのオートインジェクター注入器となっている製剤もある
●単剤では低血糖を起こしにくい
●米国では抗肥満薬(高用量)としても承認されている
合併症への予防効果
現時点で、プラセボと比較したRCTが5報発表されている。
●リラグルチドとアルビグルチドでは
➡︎心血管イベントリスクの有意な低下あり✨
●他の3剤では
➡︎心血管イベントリスクに対して非劣性💦
(1)リラグルチド
●LEADER試験
[対象]
心血管疾患ハイリスクの 2型糖尿病患者
[ランダム化]
リラグルチド群
プラセボ群
[期間]
3.8年(中央値)間
[結果]
非劣勢
有意差あり✨
※日本での承認量よりも多い💦
(2)セマグルチド
●SUSTAIN-6試験
[対象]
心血管疾患ハイリスクの2型糖尿病患者
[ランダム化]
セマグルチド群(週1回投与)
プラセボ群
[期間]
2.1年(中央値)間追跡
[結果]
非劣性(非臨床的なリスク設定💦)
優越性あり(後付け解析💦偽陽性回避もなし)
[備考]
セマグルチド群
➡︎網膜症リスクが有意に高値💦
※副作用
※血糖値が急激に下がった影響の可能性も
(3)持続性エキセナチド
●EXSCEL試験
[対象]
心血管疾患ハイリスクの2型糖尿病患者
[ランダム化]
持続性エキセナチド群(週1回投与)
プラセボ群
[期間]
5年
[結果]
非劣勢
有意差はない💦
(4)リキシセナチド
●ELIXA試験
[対象]
冠動脈疾患を有する2型糖尿病患者
[ランダム化]
リキシセナチド群
プラセボ群
[期間]
25カ月(中央値)
[結果]
非劣性が確認されたが、
優越性検定では有意差は認めなかった。
(5)アルビグルチド
●Harmony Outcomes試験
[対象]
心血管疾患の既往がある2型糖尿病患者
[ランダム化]
アルビグルチド群
プラセボ群
[期間]
1.6年(中央値)間
[結果]
非劣性が確認。
有意差も認めた。
※内訳:心筋梗塞リスクは有意に低下。
脳卒中と心血管死亡には有意差5なし。
総死亡も両群間で有意差なし。
※海外で販売中止に(製造会社の事業上の理由)
※日本では未販売のまま。
作用時間によって効果は異なるか
GLP-1受容体作動薬
●短時間作用型
(エキセナチド、リキシセナチド)
●長時間作用型
(リラグルチド、デュラグルチド)に分類
⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎
両者は
・インスリン分泌促進作用(共通)
・グルカゴン分泌抑制作用(共通)
・短時間作用型
→胃内容排出遅延作用が比較的強い
食後インスリン必要量が少なくて済み、
食後の血糖コントロールに適している。
・長時間作用型はその逆で、
→食後インスリン必要量は多くなるが、
空腹時の血糖コントロールに適している。
※長時間作用型のリラグルチドは
→心血管イベントのリスクを有意に低下
体重を有意に減少させる。
(日本で承認されている投与量よりも多い)
注意!)
同じ長時間作用型でも他剤では
心血管疾患抑制効果の再現性はなく、
短時間作用型も有意差を認めてい。
糖尿病治療における本薬剤の位置付け
経口薬およびインスリンで血糖コントロールが不十分な症例や、肥満が著明な症例が適応に✨
※GLP-1受容体作動薬とナトリウム・グルコース共輸送体(SGLT)2阻害薬は、
ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4阻害薬よりも死亡リスクを有意に低下させるかもしれないとのこと。
糖尿病以外の適応の可能性
(1)抗肥満薬として
リラグルチドとセマグルチドは、
→2型糖尿病を合併していない
肥満者(平均BMI約39)において、
体重を有意に減少させる✨
※リラグルチドは現在日本の投与量よりも多い
※セマグルチドも、薬価未収載である。
(2)心不全治療薬として
GLP-1受容体作動薬は
直接の心保護作用を有することが期待✨
でも、心不全入院後の患者を対象とした試験でプラセボと比較して退院後の臨床的安定性に有意差を認めなかった。
今後の期待
・ウイークリータイプのデバイスには注射針が内蔵され、使用法が非常に簡便なものもある。
・GPL-1受容体作動薬の経口剤も開発中