マシュマロの薬剤師日誌

病院で薬剤師やってます

医薬品医療機器等法(薬機法)等改正案が参議院本会議で可決、成立

2019年11月27日、

医薬品医療機器等法(薬機法)等改正案が参議院本会議で可決、成立した。

 

19年3月の国会提出から成立までに約8カ月を要した。なお、可決に当たっては付帯決議が付された(関連記事:薬機法等改正案が衆院本会議で可決)。

 参議院本会議に先立って11月26日に開催された参議院厚生労委員会では、

改正案に盛り込まれた薬局の認定制度

(「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」)について、

地域連携薬局」と既存の「健康サポート薬局」の違いや、今後も「健康サポート薬局」の表示は継続するのかを問う声が多く上がった。

 

 厚生労働省医薬・生活衛生局長の樽見英樹氏は、「薬局には、健康について気軽に相談できる機能と、処方箋に基づく調剤と服薬指導を行う機能の2つが求められる。それを前提に、『地域連携薬局』はこの2つの機能を持つべきだと考えている。

 

地域住民が自分のニーズに適した薬局を選べるよう、一定の要件を満たす薬局が名称を表示できる。その要件として、入院、在宅、介護施設を含め、在宅医療のニーズに対応できることを求めたい。

 

また、麻薬の調剤無菌調剤医療機関および介護機関との密な連携を行うことも要件に含むことになる」と述べた。

 

 

 また、健康サポート薬局については、

「要件を満たす場合は『地域連携薬局』を名乗ることができる。

認定を受けない薬局でも、

日ごろから病気について相談できる機能は重要なので、引き続き『健康サポート薬局』の表示も続けていく」と述べた。

 

 東徹氏(維新)や平木大作氏(公明)は、新たに盛り込まれた「専門医療機関連携薬局」の普及の見通しや、日常的に手が届くところにできるのかを尋ねた。

 樽見氏は、

「専門医療機関が整備される圏域、基本的には二次医療圏ごとに少なくとも1つ以上の薬局が認定されることが望ましい」とした。

また、「地域連携薬局」は日常生活圏域ごとに認定されることが望ましいとし、どの薬局が認定を受けているのかを患者が分かるようにするため、

薬局機能情報提供システム」に掲載していく予定だと説明した。

手続きが薬局にとって負担にならないようにしていきたいとも述べた。

 

 今回の法改正で医薬分業にどうメリットがあるのかを尋ねた。

 これに対し樽見氏は、

「メリットは、薬剤師が医師と独立して、服薬状況を一元的に管理、また重複投与を確認し、より安全で有効な薬物治療を行うこと。

また、癌治療を外来で受ける患者や、在宅医療など様々な環境で医療を受ける患者が増えている。

今回の改正は、国民がより安全な薬物治療を受けられるように、薬剤師の対人業務の強化とともに、患者が薬局機能を自身で選べるように薬局の認定制度を盛り込んだ」と話した。

 

 

 また、平木氏は、オンライン服薬指導について、なし崩し的に広がるのではと懸念する声があり、運用基準を定めることが大切ではないかと指摘した。

 樽見氏は、

オンライン診療ガイドラインに基づき、一定のルールの下で行われることを踏まえ、オンライン服薬指導も薬剤の適正使用が確保される場合のみ実施されるので、なし崩し的に広がることはない。オンライン診療とオンライン服薬指導は組み合わせて進めていくことになる」と話した。

 審議の中で、倉林明子氏(共産)が、条件付き早期承認制度による規制緩和で薬害発生の恐れがあること、なし崩し的に広がる恐れがあるオンライン服薬指導について看過できないなどの意見を述べ、反対を表明したが、賛成多数で可決された。