経口セマグルチドは
国内外で承認されている
注射剤のセマグルチド(我が国では未発売)と
分子構造は同一であり、
添加されている低分子化合物(SNAC)の作用で
胃から吸収されます。
起床時に服用し、
その後30分は絶食絶飲状態を保つ
(朝食はその後)必要があるものの、
注射剤でのGLP-1受容体作動薬による治療を受け入れられない患者にとっては朗報になります。✦ฺ
米欧ともに承認申請されており、
日本でも承認申請準備中らしいです。
PIONEER6は、
新規糖尿病治療薬の心血管安全性を評価する
ランダム化比較試験として行われました。
対象は2型糖尿病で、
心血管疾患の既往があるか
中等度の慢性腎臓病(CKD)を合併する50歳以上、
または
心血管危険因子がある60歳以上の患者としました。
3183例を、
経口セマグルチド14mg/日投与群(1591例)
または
プラセボ投与群(1592例)に
ランダムに割り付けました。、
主要評価項目は、心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合(3ポイントMACE)で、これらが最低122件発生するまで追跡するデザインで行われました。、
ベースラインの患者背景は
平均年齢66歳、
男性68.4%、
体重90.9kg、
BMI 32.3kg/m2、
罹病期間14.9年、
HbA1c8.2%、
血圧136/76mmHg、
eGFR 74mL/分/1.73m2などで、
84.7%(2695例)が
心血管疾患または中等度のCKDを合併した50歳以上の患者でした。
15.9カ月(中央値)の追跡期間で、
3ポイントMACEは
経口セマグルチド群61例(2.9/100人・年)、
プラセボ群76例(3.7/100人・年)に発生。
経口セマグルチド群の非劣性が示されたが、
優越性の検定では有意差を示すことはできませんでした。
セマグルチド注射剤の心血管安全性を評価した
SUSTAIN-6では、
3ポイントMACEは26%の有意減少を認めました。、
これとの違いについて研究グループは
追跡期間の短さ(SUSTAIN6では2.1年)による
イベント数の少なさを挙げ、
リスク減少は同程度だったことから、
セマグルチドの心血管への作用は
投与経路によらず期待できるとしている。
同様にイベント数が少なく解釈は難しいが、
心血管死亡および総死亡のリスクは、
経口セマグルチド群でほぼ半減しました。
一方、SUSTAIN-6で観察された
脳卒中のリスク低下は見られませんでした。
安全性に関するプロファイルは
他のGLP-1受容体作動薬と同等で、
有害事象の主たるものは消化器症状でした。
なお、SUSTAIN-6では
糖尿病網膜症の有意な増加が見られ、
急速な血糖コントロールとの関連が疑われました。
既存のGLP-1受容体作動薬注射剤に
取って代わる可能性があると評価されています。
30分待つという服用条件が
日常診療で遵守されるか懸念があります。